クヌギ

ブナ科コナラ属 落葉高木

樹高は15~20mになる。
樹皮は暗い灰褐色で、厚いコルク状、縦に割れ目ができる。
葉は互生、長楕円形で周囲には鋭い鋸歯がならぶ。葉は薄いが硬く、表面にはつやがある。紅葉後に完全な枯葉になっても離層が形成されないため枝からなかなか落ちず、2月くらいまで枝についていることがある。
花は雌雄別の風媒花で、4~5月に咲く。雄花は黄色い10cmほどの房状に小さな花をつける。雌花は葉の付け根に非常に小さい赤っぽい花をつける。雌花は受粉すると実を付け、翌年の秋に成熟する。
実は他のブナ科の樹木の実とともに、ドングリとよばれる。ドングリの中では直径が約2cmと大きく、ほぼ球形で、半分は椀型の殻斗につつまれている。殻斗のまわりにはたくさんの鱗片がつく。この鱗片は細く尖って反り返った棘状であり、この種の特徴でもある。実は渋味が強いため、そのままでは食用にならず、あく抜きを必要とする。

クヌギは成長が早く、植林から10年ほどで木材として利用できるようになる。伐採しても切り株から萌芽更新が発生し、再び数年後には樹勢を回復する。持続的な利用が可能な里山の樹木のひとつで、農村に住む人々に利用されてきた。里山は下草刈りや枝打ち、定期的な伐採など人の手が入ることによって維持されていたが、近代化とともに農業や生活様式が変化し放置されることも多くなった。
材質は硬く、建築材や器具材、車両、船舶に使われるほか、薪や椎茸栽培の榾木(ほだぎ)として用いられる。
落葉は腐葉土として作物の肥料に利用される。
実は爪楊枝を刺して独楽にするなど子供の玩具として利用される。また、縄文時代の遺跡からクヌギの実が土器などともに発掘されたことから、灰汁抜きをして食べたと考えられている。
樹皮やドングリの殻は、つるばみ染め(橡染め)の染料として用いられる。つるばみ染めは媒染剤として鉄を加え、染め上がりは黒から紺色になる。