シュンラン

ラン科シュンラン属

葉は地表から出る根出葉で、細長く、薄いが固く、根元から立ち上がり、曲線を描いて下に向かう。細かい鋸歯があってざらつく。
茎は球形に縮まった小型の偽球茎になり、匍匐茎はなくて新しい偽球茎は古い偽球茎の根元から出て株立ちになる。
根は太くて長い。部分的菌従属栄養植物であり、緑葉による光合成以外に、ヘツカランのように着生生活を送る熱帯性のシュンラン属と菌根共生を送る腐生菌と、光合成を行わない菌従属栄養植物のマヤランやサガミランが依存する外生菌根菌の両方から、有機物の供給を受けている。
花は3~4月に咲く。前年の偽球茎の根元から出て、葉の陰に茎をのばし、その先端に花が1個つくが、まれに2~3個つくこともある。花茎は薄膜状の鱗片にゆるく包まれる。花は横を向いて咲き、萼片と側花弁は倒披針形、黄緑か緑でつやがあり、やや肉質。萼片は広がって3角形の頂点を作り、側花弁はずい柱を囲うように互いに寄り合う。唇弁は基部はずい柱の下に受ける溝のようで、縦にひだがあり、その先は前に面を向けて広がり、先端は後ろに巻き込む。普通種の色は白色で、濃赤紫色の斑紋が入る。
果実は紡錘形をしており、熟すると茎が伸びて葉の上に出て、上に向いて直立する。種子は極めて小さく、埃のように見える。

土壌中に根を広げる地生蘭の代表的なものでもある。名称の由来は「春蘭」で、春に咲くことから。山草や東洋ランとして観賞用に栽培されることも多い。